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QM/MM法

従来の量子化学計算による酵素反応の研究では、伝統的に活性中心近傍の重要な部分を切り出したモデルを用い、その電子状態や基質との相互作用を解析することで知見を得てきた。これらの解析は酵素反応の本質を理解する上で一定の役割を果たすことができたと考えられるが、実際には数千原子にも及ぶ周辺のタンパク質も何らかの形で関与しているはずであり、その作用を取り入れたいとの要望が強い。そこで、本研究室では近年注目を集めているQM/MM法により、酵素全原子を含む検討を行っている。

QM/MM法とは、基質と相互作用する活性点近傍は量子化学計算に則り、その周辺は古典的に記述する近似方法であり、化学現象の起こる部位を高精度に取り扱いながらも、酵素のような巨大分子を高速に計算することが可能になる。下に示してあるのは6460原子 (409残基) から成るシトクロムP450camのQM/MM法による最適化構造である。これにより実際の酵素に近い構造を計算機上で再現できることが判明した。

QM/MM法の概念図
QM/MM法によるシトクロムP450camの最適化構造